スラムダンクの映画が公開されましたが、賛否両論の声が上がっています。
筆者としては面白かったので、再度原作を読み返してみましたが、言われてみれば原作と違う点も多々見受けられました。
尺の関係上、仕方ないとは思いますが、あのシーンがない!など原作ファンからは色んな声が上がっています。
原作を読むと「このシーンは欲しかったなぁ・・・」と思うところも。
逆に、このシーンが追加されて、より良くなった!と思う所もありました。
そこで、映画の内容から一部ネタバレしつつ、原作とはどんな所に違いがあるのでしょうか。
「スラムダンク映画2022原作の違いは?内容ネタバレ付きで徹底解説!」と題して、どこよりも詳しく解説していきます。
スラムダンク映画2022原作の違いは?
よくやくこの天才桜木の勇姿を映画館で見せるときが来たぜオヤジ〜!☕️#スラムダンク #SLAMDUNK pic.twitter.com/bTeso2HQ55
— NAOKI☕️ラテアート (@NaoKi_N_K) December 3, 2022
2022年公開のスラムダンクの映画と原作の違いについて、結論から言うと、枚挙にいとまがないほど違う所が多々あります。
細かい所を挙げると本当にキリがないのですが、大きい所でいうと宮城リョータが主人公な点。
そのため宮城リョータ視点で話が進んでいくため、宮城に関係ないシーンについてはカットされている印象です。
大きく分けて9つほど違いがあります。
- 原作では桜木花道が主人公だが映画では宮城リョータが主人公
- 原作で描かれなかった沢北の神社お参りシーンがある
- 原作にあった沢北父エピソードがない
- 赤木再起のきっかけとなった魚住エピソードがない(そもそも魚住が登場しない)
- 花道が春子に告白するシーンがない
- 映画は全体的にギャグ要素が少なめ
- 最後のシーン、花道の「左手は添えるだけ」セリフなし
- 北沢エピソードがない
- 赤木エピソードもない
- 山王戦前夜の宮城エピソード追加
それぞれについて詳しく解説していきます。
スラムダンク映画と原作の違い①宮城リョータが主人公
一つ目の大きな違いとして、映画では宮城リョータが主人公な点でしょう。
なぜ宮城が主人公なのか??と思った人もいらっしゃることでしょう。
筆者も不思議には思いましたが、よくよく考えてみれば原作では宮城リョータの過去エピソードがほとんどありません。
三井や赤木については過去エピソードが盛りだくさんですが、一転して宮城についてはほとんど過去エピソードがありません。
そのため、監督である井上雄彦先生自身も「宮城についてもっと描きたかった」そう。
また映画については、ただ原作をなぞるだけでなく新しいスラムダンクを描きたかったとも言われています。
よって、今までの花道メインのストーリーではなく、宮城リョータ視点のストーリー展開となっています。
- 宮城リョータには憧れの兄そうたがおり、海難事故で兄を亡くしている
- 母親は兄の死を乗り越えようとも乗り越えられず、弟であるリョータにキツくあたってしまう。それにさいなまされる母親の苦悩が描かれている
- リョータの過去エピソード盛だくさん
- 最後、リョータが何故かアメリカに渡る
映画にあって原作にない点はそれ以外にもありますが、大きくいうと上記4点かと思われます。
それ以外にも原作と違う点は多々あります。
スラムダンク映画と原作の違い②沢北の神社お参りシーン挿入
二つ目に、映画では山王工業のエース沢北が、湘北との試合前夜に神社にお参りするシーンがあります。
原作にはないシーンでしたが、個人的にはとても良いシーンだったかと思います。
沢北は、階段を上った先にある神社で、「自分にはない経験をください」と願掛けをします。
それが、残酷なことに、「湘北高校に負ける事」だったのですから、何とも胸が苦しくなりますね。
どんなに強い相手と対面しても必ず勝ってきた沢北。
向かう所敵なしだった絶対的エース、沢北にとって、負けたというのは、どれほど屈辱的だったことか・・・
しかし、山王工業の監督は「いつか負けたことが大きな財産となる」と語ったように、自分はまだまだなのだと、否が応でも悟らされる経験となったことでしょう。
スラムダンク映画と原作の違い③沢北父エピソードがない
3つ目に沢北父と沢北のエピソードが、原作にはあったものの映画では描かれていません。
尺の関係上かもしれませんが、映画での沢北の活躍ぶりを見ると、ここのエピソードは是非入れてほしかったと感じます。
原作では、沢北父が観客席におり、幼少期の沢北とのエピソードを回想するシーンがあります。
産まれたばかりの時からバスケットボールをおもちゃとして与えていたこと。
沢北が4歳の時には、子供用のバスケットゴールに易々とダンクをかましていたこと。
それを受けて、父親があちこちからお金を工面して、裏庭にバスケットコートを作った事。
毎晩毎晩、父子で1on1をしていたこと。
父親に勝つことができなくて、いつも悔し泣きをしていた沢北が、ついに中学生になった時にようやっと父親に勝つことができたこと。
「あいつはチャレンジャーなんです」と、山王工業の監督に、息子をアメリカに遠征させてくれないかと持ち掛けます。
そういった背景があってこその、沢北渡米エピソードに繋がるので、このエピソードは欠かせなかったんじゃないかなと思います。
宮城視点だからカットされたのかもしれませんが・・・・
エースは最初からエースだったのではなく、どれほどの努力をしてきたのか、そういった背景は是非描いて欲しかったなと感じてしまいます。
スラムダンク映画と原作の違い④魚住が登場しない
さらに言えば赤木が、「山王に勝てないかもしれない・・・」と弱気になり倒れているときに、おもむろに魚住が登場してくるシーンもありません。
原作では半分ギャク、半分いいシーンとして描かれてるものの、映画ではカットされています。
おそらく映画を見ていると、どこまでもリアリティを追求したように感じるので、板前姿で登場する魚住というのが、そもそもミスマッチ。
「どこまでもバスケットの試合を描きたかった」井上先生の意向を考えれば、このシーンがないのは仕方ないのかもしれません。
まして初見の人が見れば「誰だこの人」となるでしょうし、魚住と赤木の関係性を描くには、あまりにも尺が足りませんし・・・。
ちなみに映画では、悪魔となって先輩達が赤木に対し弱気な発言をしますが、それに屈することなく、自分で立ちなおるシーンとして描かれています。
スラムダンク映画と原作の違い⑤春子に告白するシーンがない
また、花道が背中を痛めて、横になっている所から立ち上がった時に春子に告白するシーンも映画にはありません。
「大好きです、今度は嘘じゃありません」と告白するシーンですね。
こちらもリアリティを追求した結果カットされたのかなと思います。
というのも春子たちは2階の観客席におり、1階の試合会場に降りることはおそらくできないでしょう。
また映画では花道が春子を好きかどうかなんて全く描かれていないため、このシーンだけあっても唐突すぎますしね。
個人的には、構成上カットされても仕方ないシーンかと思います。
スラムダンク映画と原作の違い⑥ギャグ要素が少なめ
また原作と違い、映画ではどちらかといえばシリアス要素が強く、ギャグ要素が少なめです。
全体的に、明るいスポーツ漫画とは、ちょっと一線を画しているように思います。
というのも、やはり宮城のエピソードが大きく関係しているように思いますね。
兄を小さい頃に亡くしたことが大きく影を落としており「兄に比べたら大したことない」と、比較されることも多々あった宮城リョータ。
また兄と同じく、バスケットをする弟リョータに対し、複雑な思いを抱いてしまう母親。
こういった親子関係や、リョータ自身の苦悩も描かれている点から、鬱展開とも言われています。
明るく笑える要素が大きくカットされているので、原作とは少し雰囲気が違うかなと思います。
しかし、山王戦の感動はそのままに、誰でも知ってる名シーンは残しているので、個人的には、これはこれでアリだと思っています。
スラムダンク映画と原作の違い⑦左手は添えるだけセリフなし
最後のシーンでいえば、流川が花道にパスするとき、花道が「左手は添えるだけ」と言っているセリフがカットされています。
おそらく宮城視点で映画のストーリーが進んでいくので、宮城にはそのセリフが聞こえてなかったからカットされているのだろうと考察する方もいらっしゃいました。
個人的には、このセリフはカットされるのも仕方ないかなと思います。
非常に重要なシーンだからこそ、どんなテンションで、どんな声で出すのか、めっちゃくっちゃ責任重大でしょう。
「こんな感じじゃない」と原作ファンから非難の声があがってもおかしくありません。
おそらく、ファンの皆さん、それぞれに脳内再生している声があるかと思います。
その声を崩さないためにも、あえてこのセリフをカットしたのではと考えられます。
スラムダンク映画と原作の違い⑧北沢エピソードがない
ちょっと細かいですが、原作では、仙道と流川が対決している時に、流川が仙道に「全国には・・・おめーより上がいるのか?」と聞くシーンがあります。
「いるよ」「北沢・・・・」「ん?北沢?」と応える仙道。
流川が「沢北じゃねーか・・・どあほう!!」となるシーンですね笑。
細かいながらも面白かったんですが、これまた映画の雰囲気と異なるからかもしれませんね^^;
スラムダンク映画と原作の違い⑨赤木の過去エピソードもない
赤木が山王戦にどれほど強い思いを持っているのか、過去エピソードも映画ではカットされています。
なんなら原作では、赤木の夢だった打倒山王が、映画ではリョータの兄の夢にすげ変わっています^^;
そのため、リョータの方が打倒山王に対する思い入れが強い、かのような描き方です。
リョータ自身も、実は山王に対してすごい思い入れがあったという事なのかもしれませんが。
全体的に、映画ではリョータに重きを置いた構成なので、それぞれの背景は少なめに描かれている印象です。
しいて言えば不良時代のミッチーが、ちょっと描かれてるぐらいでしょうか。
スラムダンク映画と原作の違い⑩山王戦前夜の宮城エピソード追加
原作では、宮城が山王の強さに圧倒され、冷静になるべく外出するシーンがあります。
原作では、「ちょっと外に出てくる」だけでしたが、その後どうなっていたのかが映画では描かれています。
映画では、弱気になる宮城を勇気づけるシーンが描かれており、彩子が宮城の手に「NO1ガード」と書いていました。
原作では試合中に書いていましたが、映画では前夜に彩子が宮城の手に書くように改変されています。
また全体的に、宮城が彩子を好きなシーンはほとんどなく、ただの部員とマネージャーのような位置づけです。
スラムダンク映画2022内容ネタバレ!
地元の映画館にスラムダンクのグッズ買いに来たら、フィギュアで最初に売り切れてたのが安西先生だった pic.twitter.com/oxZfQIeUXu
— バグ・バズ (@bug_buzz) December 3, 2022
映画と原作の違いについて、書いていきましたが、お察しのとおり映画では山王戦が描かれています。
山王戦のシーンと、宮城の過去シーンが交差する構成となっています。
宮城は沖縄で生まれ、バスケが上手い憧れの兄ソータがいましたが、海難事故で突然兄を亡くしてしまいます。
ソータを亡くした喪失感から、弟のリョータとも上手く向き合うことができない母親。
そして、そんな自分を責める母親と同時に、そんな母親の気持ちに「自分が生きていることへの申し訳なさ」を感じるリョータ。
沖縄から神奈川に移り住むも、学校生活も上手くいかず荒れていたシーンなどが描かれています。
最終的に母親とも、ぎこちないながらも分かりあえることもできていました。
(分かりあえるというよりは、母親が息子の死を乗り越えることができ、リョータと向き合うことができた、といった感じです)
原作通りに山王戦に勝ったその後、宮城と沢北は渡米。
そして、再度敵同士となった宮城と沢北が対決する…といったところで映画は終了します。
まさかの宮城渡米に「み、宮城が渡米??」と思った人もいるのではないでしょうか。
流川じゃなく宮城が渡米したとろに、え?と思った人も少なからずいるようです^^;
まとめ
スラダン映画の場合、素体とユニフォームっていうある程度単純な構造だから可能なんだろうけど、常に服が動いてるのは本当に恐ろしいな。物理計算だと処理が複雑過ぎて無理だからほぼ全カット手付けの調整が必要だし、アニメーションとしての揺れ方にしなければならないから本当に手間がかかっている。 pic.twitter.com/xvrCzaOItl
— 墨酢 (@capitano1812) December 5, 2022
「スラムダンク映画2022原作の違いは?内容ネタバレ付きで徹底解説!」と題して詳しく解説していきました。
映画と原作の違いは多々あるものの、映画の内容ネタバレすると、宮城が主人公という所が大きな点でしょう。
そのため原作にあったシーンがカットされていたり、逆に原作にないシーンが追加されているところもあります。
むしろ井上雄彦先生としては「新たなスラムダンクとして描きたかった」意向がある以上、違うのは当然といえば当然です。
不満に感じているファンもいるかもしれませんが、個人的には音や映像が最高にリアルでBGMもカッコよく、映画も映画でとっても面白かったです!
また見に行きたいなと思います^^
最後までご覧いただき、ありがとうございました!